子どものお小遣いの相場はいくら?20年でどう変わった?|教育費・スマホ代まで含めた全体像

家計の基礎知識

「子どもにかかるお金は、昔よりずいぶん増えた」——多くの人がそう感じています。ところがデータを見ると、答えは単純ではありません。子育て費用の総額は、ここ15〜20年でほぼ横ばい。にもかかわらず、家計のやりくりはむしろ難しくなっています

カギは「中身の入れ替わり」です。この記事では、お小遣い・教育費・習い事・スマホ代まで、子どもにかかるお金の全体像を、代表的な数字でざっくりつかみます。

① 子ども自身の財布:お小遣いは横ばい、でも買えるものは減った

まず子ども自身のお小遣いです。金融広報中央委員会の調査では、中学生のお小遣いの中央値は2005年・2010年・2015年と3回とも2,000円。ほとんど動いていません(高校生も中央値5,000円で同じ)。

一方で、子どもが買うものは確実に値上がりしています。

品目倍率
うまい棒10円15円約1.5倍
ガリガリ君60円(1991年)90円(2026年)1.5倍
カプセルトイ(ガチャ)100円中心平均 約400円約2〜4倍
自販機の500mlペット140円200円約1.4倍

物価全体(消費者物価指数)はこの20年で約1.14倍にとどまるのに、子どもの身近な品目は1.5〜2倍。お小遣いが据え置きなら、子どもが買えるものは昔より確実に減っているということです。

出典:金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査」、各社公式発表。

② 教育費・習い事:無償化で総額は抑えめ、でも塾・習い事は重い

次に教育費です。文部科学省の最新調査(2023年度)では、公立校でも1年間にこれだけかかります。

段階(公立)年間の学習費総額うち塾・習い事
小学校約36.7万円約25.6万円
中学校約54.2万円約35.6万円
高校(全日制)約59.7万円約24.5万円

注目したいのは、公立でも費用の多くを「塾・習い事」が占める点です。とくに公立中学校は、高校受験のための塾代が大きく、私立中学校を上回るほど。約20年前(2009年の内閣府調査)では小学生の学校外活動費は年9万円ほどでしたが、今は公立小でも年25万円超。習い事・塾への支出は大きくふくらんでいます

一方で、授業料そのものは、幼児教育・保育の無償化や高校授業料の実質無償化といった公的支援が抑えてくれています。教育費が「総額として爆発していない」のは、この無償化のおかげです(私立を選べば、ここに数十万〜100万円単位が上乗せされます)。

出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」

③ 新しい固定費:子どものスマホ・通信費

20年前との最大の違いが、これです。子どものスマホ代という費目は、20年前には存在しませんでした。スマホ所有率は2010年でわずか2.9%でしたが、2013年に56.8%へ急増し、今や10代後半の約9割が持っています。中高生はほぼ全員がネットを使う環境です。

子どものスマホ代は、全国平均で月約3,710円。年に4〜5万円ほどの固定費が、昔はなかったのに、今は当たり前にかかります。格安SIMで抑える家庭が半数を超えるなど、各家庭が工夫してこの水準、という点も見逃せません。

出典:こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」、MMD研究所ほか。

④ ゲームも「買い切り」から「課金」へ

娯楽の中身も変わりました。昔はゲーム機やソフトを「買い与える」一度きりの出費でしたが、今はオンライン通信、月額サブスク、ゲーム内課金といった続けて払う「インフラ型」の支出に変わっています。小学生の約8割、中学生の約7割が日常的にゲームをしており、支出が一度で終わらない構造になっています。

子育て費用の総額:横ばい、でも中身が入れ替わった

では、これらを合わせた「子ども一人にかかるお金」の総額はどうなったのか。ここが今回いちばん意外なところです。

0〜15歳(中学卒業まで)の子育て費用 累計金額
2009年(内閣府)約1,900万円
2024年(国立成育医療研究センター)約1,953万円

約15年でほぼ横ばいです(調査主体が異なるため厳密な比較ではありませんが、おおむね同水準)。増えていないように見えます。でも、これは無償化が教育費を抑えてくれた結果にすぎません。中身を見ると、構造が大きく変わっています。

  • 生活費(食費・日用品)の割合が増大:物価高で食費がふくらみ、0〜18歳の純支出のうち約半分を食費(約712万円)と生活用品(約307万円)が占めるようになりました。
  • 新しい通信費が加わった:前述のスマホ・通信費という固定費が、まるごと上乗せされています。
  • 高校期は実際に増えている:高校生1年あたりの費用は、2009年の約149万円から、最新では約182万〜231万円へと増加(約1.2〜1.5倍)。

つまり、無償化で浮いたお金を、物価高の生活費と新しい通信費が埋めて相殺しているのが実態です。無償化がなければ、総額は明確に増えていたはずです。

出典:国立成育医療研究センター(2024年調査)、内閣府(2009年調査)、総務省統計局「消費者物価指数」。

まとめ:数字以上に「やりくり」は大変になっている

子どもにかかるお金の全体像を整理すると、こうなります。

  • 総額は横ばい:ただし、それは幼児教育・高校無償化が教育費を抑えてくれたから。
  • 中身は入れ替わった:物価高で生活費がふくらみ、20年前には無かったスマホ・通信費が新しい固定費に。塾・習い事も増加。
  • 子どものお小遣いは据え置き:その結果、子どもが自分で買えるものは減っている。

数字の上では「横ばい」でも、家計のやりくりは昔より確実に難しくなっています。親も子も、見た目以上に大変になっている——それが、データから見えてくる全体像です。

物価の全体像は、こちらでまとめています → 【2026年 値上げ まとめ】今年値上げした全カテゴリ一覧と家計防衛策


主な出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」、国立成育医療研究センター(2024年)・内閣府(2009年)の子育て費用調査、こども家庭庁「青少年のインターネット利用環境実態調査」、金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査」、総務省統計局「消費者物価指数」。調査ごとに対象・方法が異なるため、年をまたぐ比較は目安です。一部は参考値を含みます。

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